仮想通貨のエアドロップ=無料でトークンをもらった場合、どんな条件で税金がかかるのか気になりますよね。この記事では、税理士および仮想通貨の損益計算ツールGtax監修のもと、みなさんから頂いた質問を中心に答えていきます。

本記事では、個人にかかる仮想通貨のエアドロップの税金について一般的な情報を提供しています。ただし、記載された内容はすべての状況に適用されるわけではなく、個別の事例や法的助言を代替するものではありません。税金に関する具体的なご質問やご不明点がある場合は、必ず税理士またはお近くの税務署にご相談ください。当サイトは、本記事の内容を基にした行動に起因するいかなる損害やトラブルについても、一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

目次

前提:仮想通貨の税金がかかるタイミング

Cryptocurrency Tax

まずは、どんなときに税金がかかるのかをサクッと確認しておきましょう。

1. 仮想通貨を売却

例:1BTCを500万円で購入、1BTCが1,000万円のときに売却
→1,000万円ー500万円=500万円が課税対象

2. 仮想通貨同士の交換

例1:1BTCを500万円で購入、1BTCを10ETHと交換(このときの1ETHは50万円=500万円)
→500万円(10ETH)ー500万円(1BTC)=0円(課税されない)

例2:1BTCを500万円で購入、1BTCを20ETHと交換(このときの1ETHは50万円=1,000万円)
→1,000万円(20ETH)ー500万円(1BTC)=500万円が課税対象

3. 仮想通貨で決済

例:1BTCを500万円で購入、700万円の商品をBTC決済で購入
→商品700万円ー500万円(1BTC)=200万円が課税対象

4. ステーキング・レンディングによる報酬

例:10万円分のUSDTをステーキング、11万円分のUSDTになった
→11万ー10万円=1万円が課税対象

ステーキングの場合、受け取った時点での時価が利益になります。(この場合、円に換金していない場合でも税金がかかる)

5. 仮想通貨を譲渡(贈与税)

例1:500万円分の1BTCを譲渡=贈与額500万円(一般贈与財産の場合)
贈与額500万円ー基礎控除110万円=390万円が課税対象

例2:500万円分の1BTCを譲渡=贈与額500万円(特定贈与財産の場合)
贈与額500万円ー基礎控除110万円=390万円が課税対象

一般贈与財産は、「親から未成年の子へ、または夫婦間、兄弟姉妹間などで贈与する財産」のこと、特定贈与財産は、「直系尊属(父母・祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子・孫など)へ贈与する財産」のこと。

贈与税の詳細については、国税庁の「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」をご確認ください

仮想通貨エアドロップの税金基礎

Airdrop Tax

エアドロップの税金で一番重要なことは、「エアドロップを受け取った時点で価格がついているか」です。価格がついている場合は、取得時点の価格が課税対象になります。また、取得時点の価格よりも高い価格で売却した場合、値上がり益に関しても課税対象になります。

例1:エアドロップで時価100万円のAトークンをもらった
→100万円が課税対象になる

例2:エアドロップで時価0円のAトークンをもらった
→課税対象なし

例3:エアドロップで時価0円のAトークンをもらい、その後100万円で売却
→100万円が課税対象になる

例4:エアドロップで時価30万円のAトークンをもらい、その後100万円で売却
→取得時に30万円、売却時に100万円-30万円の値上がり益70万円がそれぞれ課税対象になる

仮想通貨エアドロップの税金【ケース別】


Xで質問募集した中からいくつかピックアップして、税理士さんに回答を頂きました。個別のケースになるので、すべての方に当てはまるわけではありませんが、参考になると思います。

質問をしてくれた方々、ありがとうございました。

エアドロップをClaimした時に、まだ上場していない場合の税金

エアドロップをClaimして仮想通貨を受け取った時に、その仮想通貨がどこにも上場しておらず、市場価格がついていない場合には、0円で取得したとみなされ、Claim時には課税対象にはなりません。

エアドロップをClaimした時に、まだ上場していないが、プレマーケットで価格がついている場合の税金

その仮想通貨に「活発な市場」が存在するかがポイントとなり、以下のパターンが考えられます。

  1. プレマーケットなどで活発な市場が存在すると判断する場合
    仮想通貨の取得時点での時価がそのまま利益となる
  2. 活発な市場が存在しないと判断する場合
    0円で取得したとみなされ、課税対象にはならない

BybitBitgetのようなプレマーケットでは継続的に売買価格が公表され、十分な数量及び頻度で取引が行われているため、活発な市場が存在すると判断されるケースが多いです。

※参照:3-1-4 活発な市場が存在する暗号資産

エアドロップをClaimせずにステーキングした場合の税金

現状、国税庁から見解が示されていないという前提で以下の2パターンの損益計算の方法が考えられます。

  1. Claimできる権利を得たタイミングで利益として認識する
    Claimをする・しないに関わらず、Claimができるようになったタイミングで利益を認識する。質問のケースでは、エアドロップをClaimできるようになったタイミングで一度利益を認識。さらに、ステーキングの報酬を受け取る権利を得るたびに利益を認識する形になる(ウォレットに入金されるかどうかは関係ない)。
  2. Claimして仮想通貨が実際にウォレットに入ったタイミングで利益として認識する
    エアドロップやステーキングなどを行った上で、最終的に仮想通貨がウォレットに入金されたタイミングで利益として認識する。

どちらのパターンで計算を行うかは税務署・税理士に相談することを推奨します。

エアドロップのClaim(請求)を翌年にした場合、今年の利益圧縮ができるか?

Claimのタイミングを遅らせて利益の発生タイミングを翌年にずらすことができるかどうかは、現状、国税庁から見解が示されていません。

現時点では以下の2パターンの損益計算の方法が考えられます。

  1. Claimできる権利を得たタイミングで利益を認識する
    この場合はClaimが可能となったタイミングを取得日として、その時点の時価を利益として認識します。
  2. 実際に仮想通貨を受け取ったタイミングで利益を認識する
    この場合はウォレットなどで実際に仮想通貨を受け取ったタイミングを取得日として、その時点の時価を利益を認識する。このパターンを選択する場合は、ご質問の通り、意図的に利益の発生を翌年に遅らせることができる。

どちらのパターンで計算を行うかは税務署・税理士に相談することを推奨します。

ステーキングして得たエアドロップは、ステーキングしないともらえなかったので、ステーキングするために購入した仮想通貨を経費として計上して良いか?

ステーキングをするために購入した仮想通貨は経費とすることはできません。ただし、その仮想通貨の購入時に発生した取引所での取引手数料や送金手数料などは経費として認められる可能性があります。

Layer3などのタスクをこなすためにミントしたNFTは売れないため価値のないものとして考えて良いか?また、NFTをミントしたガス代は経費として計上してよいか?

個人の場合、基本的にNFTを保有しているだけでは損益は発生しないため、そのNFTが現在流通されているかどうか(市場価格がついているかどうか)は損益・税金に関係ありません。ガス代などは経費として認められる可能性があります。

ETH→wETHにスワップした際には利確扱いになるのか?

現状、国税庁から見解が示されていないという前提で以下の2パターンが考えられます。

  1. ETHとwETHを別の仮想通貨として考える
    別の仮想通貨として考える場合は、スワップ時に損益が発生します。ETHを安い価格で購入し、値上がりしたタイミングでwETHにスワップした場合はその差額が損益となります。(実際、ETHとwETHでそれぞれ別の価格チャートが存在し、若干価格が異なるため別の通貨であると判断されるケース)
  2. ETHとwETHを同じ仮想通貨として考える
    同じ仮想通貨として考える場合は、スワップ時に損益は発生しません。

どちらのパターンで計算を行うかは税務署・税理士に相談することを推奨します。

ETH(Arb)→ETH(OP)にブリッジした際には利確扱いになるのか?

ブリッジに関してもスワップと同様です。

ウォレットに勝手に届いたトークンやNFTに価格がついている場合、税金計算では無視して大丈夫か?

トークンやNFTの時価によりますが、基本的には自分のものではないと考えれば特に利益などを計上する必要はありません。売却してしまった場合、その時には差額を損益として認識するため注意が必要です。

仮想通貨のエアドロップの取得単価は、本当に0で良いのでしょうか?取得単価は初値の価格にして、税金を支払う方が無難で、厳密なルールはなく、0にするのはリスクがあるとも聞きました。特に、Claimと上場日が同日の場合はどのように判断されるのでしょうか?

取得単価が「0」になるのは、エアドロップの取得時にはどの取引所でも取引がされておらず、市場価値がない場合のみです。すでに取引所に上場していて市場価格がある場合には、取得単価もその取引価格を基にしたものとなります。

Claimと上場日が同日の場合には、上場日の取引価格を参考に、エアドロップで取得した額を所得として計算を行います。

【取得単価とは】

仮想通貨1枚あたりの原価のこと。例えば、Xコインの価格が100円の時にエアドロップで1枚獲得した場合、100円の利益が発生し、Xコインの取得単価は100円となる。その後、Xコインが150円に上がったタイミングで1枚売却する場合は以下のように計算します。

150円(売却金額)ー [ 1(Xコインの売却数量) x 100円(Xコインの取得単価) ] = 50円(利益)

TONエアドロ活動の際のTelegram Starの購入は経費になりますか?

仮想通貨取引のためにTelegram Starを購入したとみなされれば、経費になる可能性があります。

※参照:国税庁資料 2-3 暗号資産の必要経費

私が使っている税金計算ツール

Gtax HP

仮想通貨のエアドロップをもらうためには、日々スワップやステーキング、レンディングなどを行う必要があるので、損益計算はかなり複雑になります。

Gtaxのようなツールを使えば、損益計算がかなり楽になると思いますよ。私自身、仮想通貨の税金に関しては、GtaxおよびGtax系列の会計事務所にすべてお任せしています。

フリープランは無料&メールアドレスのみで登録できるので使ってみてください。取引件数に応じて価格は異なりますが、一番高いプレミアムプランでも年間55,000円と良心的です。(合計5プランから選択可能)

今回は、「Gtax × AirdropList」のコラボキャンペーンということで、クーポンコードを用意して頂きました。Gtaxの有料プランが10%オフで利用できるので、良ければお使いください。

  • クーポンコード:AIRLIST
  • 内容:Gtaxの有料プランが10%オフ
  • 利用方法:Gtaxのプラン購入画面で入力して適用
  • 有効期限:2025年3月17日 23時59分まで
仮想通貨の税金に対する私の考え方

日本において、仮想通貨の税金ルールは細かい部分までは決まっていない。特に、DeFiなどの領域では新しい概念がどんどん生まれるので、現行ルールでは対応できていないのが現状。

実際に、税理士さんに質問をしても、「認識」や「解釈」と言った言葉が多く出てきます。

なので、基本的なルールは守りつつ、明確に決まっていない部分については、税理士または近くの税務署に相談するのが本当に大事だなと。

ちなみに、私は年間利益が10万ドルを超えるまでは、1人で損益計算をしていました。当時は、チェーンもそこまで多くなかったし、トランザクションも今よりは少なかったので、損益計算ツールで対応できました。トランザクションが膨大になったら、税理士に依頼するのもありですね。損益計算ツールや税理士報酬は経費にできるので、時間対効果を考えると悪くないと思います。

最後に、今回の記事はXでエアドロップの税金に関する質問が多かったので、税理士さんに監修をお願いして作成しました。みなさんの疑問にすべて答えられているとは思っていないので、今後も税理士さんと連携しながら情報発信していければと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。


監修:株式会社Aerial Partners
仮想通貨の損益計算ツール「Gtax」をはじめ、Web3事業者向け経理サポートツール「Aerial Web3 Accounting(AWA)」や金融事業者向け会計・データ管理ソリューション「Aerial Data Management(ADM)」など、デジタルアセット時代におけるデータ管理インフラを提供する企業。「Gtax」は個人向け・法人向けの両方で提供されており、確定申告における申告額算出のほか、日々の損益を把握するのにも活用できるツールとなっている。